2007年10月19日

第19回目『キスが臭い』

 南極オキアミはクジラなどのエサだが、高蛋白で無尽蔵に取れると言われていた。最初は食用の練り製品などに利用する計画だった。ところが製品に加工すると強烈な匂いで多量には食べられない。仕方なく現在では食用にボイルしエビセンや冷凍の野菜寄せ上げなどわずかに使われているだけだ。
 他に転用を試み養殖魚へ与えると、見る見る魚は成長し脂が乗り味も良くなった。ところが従来からのエサ 、イワシやサバの価格には到底太刀打ちできず少量が使われているだけだ。マダイだけは浅海で養殖すると、色は黒ずみ市場価値がなくなる。そこで赤く色付けするため特効薬替わりに使われている。

 釣りエサとしては安価で魚の食いにも優れ、冷凍で持ち運びも便利なので重宝され、現在ではなくてはならない存在になっている。需要は釣りと養殖で五分五分の状態だが、石油価格の高騰でオキアミ漁から撤退する企業も現れている。
 徳島のある企業がオキアミから色素を抽出し、化粧品の口紅を作るプロジェクトを立ち上げた。製品は鮮やかなピンク色で一日中色落ちせず申し分なかったが、残念なことに匂いをどうしても処理できなかった。目を見張るすばらしい色に刺激を受け男性が引き寄せられても、強烈な匂いに閉口し逃げられてしまう。折角ムードが盛り上がってもキスは出来ない。結局研究は失敗に終わった。

※本コラムは小里哲也氏が氏の徳島新聞かわら版に2003年5月〜2007年2月に寄稿したものを順不同にて掲載させていただいたものです。


posted by kozato at 09:15 | 日記


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